KEITO SAITO feat.DAICHI ITO
PIANO BEAT~DRUM'n'BOOGIE~ / ピアノ・ビート〜ドラムン・ブギ〜

日本唯一のブギ・ウギ・ピアニスト斎藤圭土が、2006年にソロ・デビュー・アルバムをリリースして15周年を迎え、今回の約2年ぶりとなるオリジナル・ソロアルバムは、細野晴臣氏(ex.YMO)、星野源氏など、絶大な信頼を得ているドラマー伊藤大地氏とのコラボアルバム。
全12曲、ピアノとドラムによる、絶妙な2人の空気感のある”グルーブ”に満ち溢れたサウンドは、「R&B」や「ブギ・ウギ」など、まさに”Rhythm”、”Blues”、そして”ソウル”、”ファンク”、”ゴスペル”と多彩な音楽の世界を創り上げたWonderful World。新境地を開いたセンセーショナルな逸品!

収録楽曲

01. PIANO BEAT / ピアノビート

02. Olivia / オリヴィア

03. THE GAMBLER BLUES / ザ・ギャンブラー ブルース

04. GROOVE TRAIN BOOGIE WOOGIE / グルーブ・トレイン・ブギ・ウギ
〜Steam locomotive〜蒸気機関車
〜Rail road crossing〜踏切
〜Express Train Passing〜特急列車通過

05. THIEF DOG / シーフドッグ

06. Lone Wolf Blues / ローン ウルフ ブルース

07. Theme of the BOOGIE MAN / ブギマンのテーマ

08. Promise in September / 9月の約束

09. GAJUMARU BLUES / ガジュマルブルース

10. SEEKER / 探求者

11. YELLOW MAGIC BOOGIE / イエローマジックブギ

12. GOD SPELL 〜hallelujah〜 / ゴッドスペル

2023年9月27日リリース 販売元:ユニバーサル ミュージック
品番:UCCY-1121 価格:3,300円 (税込)

【Liner Notes】

 
ブギ・ウギ&ブルース・ピアノを追求する奏者は世界的にみても希少である。その中でも斎藤圭土は屈指の存在だ。
 
2008年の初ソロ・アルバム『BOOGIE WOOGIE FAR EAST』は、100 年以上の歴史があるブギ・ウギ・ピアノを現代に見事に伝えるアルバムとして多くの音楽評論家を驚かせた。その10年後に発表した2018年の『Piano Blues & Boogie Woogie』は、ブギ・ウギの兄弟といえるブルースにも光を当て、熟成された演奏を聴かせた。
 
ブギ・ウギもブルースも長い歴史を持つ。ジャズの誕生と同じ頃、19世紀末のアメリカで形を成し、ジャズとも深く結びついてきた。その後ゴスペルやリズム&ブルースにも影響を与え、やがてロックンロールの基盤となった。つまり、現在のロックやダンス・ミュージックの出発点といえる。
 
長い歴史をもつブギ・ウギ&ブルース・ピアノを演奏する上で大事なのは、歴史を知り、伝統を守りながらも、新しい解釈や現代的視点を加え、音楽の持つフレッシュな生命力を解き放つことだろう。先人の技術を学びながら、それをアップデートすること。斎藤圭土は常にそれを意識してブギ・ウギ&ブルース・ピアノに挑み続けてきた。歴史的な演奏に耳を傾け、真摯にその技術を学びながら、一方でどん欲にブギ・ウギ&ブルースの可能性を広げようとしてきた。兄の斎藤守也とのユニット「レ・フレール」での活動はいうまでもなく、細野晴臣のバンドへの参加など数多い共演を通して演奏のオリジナリティを高めてきた。ドラマーの伊藤大地との共演もその一つだ。
 
斎藤圭土が伊藤大地と組んだアルバム『PIANO BEAT〜DRUM'n'BOOGIE〜』は、これまでのソロ・アルバムより幅広い着想が見られる。
冒頭のアルバム・タイトル曲「PIANOBEAT」の演出がにくい。ピアノをサポートするようなドラムのスウィングするビートで始まったと思いきや、ワンコーラス終わったところでブレイク、再びカウントが始まると、一転してピアノとドラムが取っ組み合うように暴れ出す。ありがちなブギ・ウギ・ピアノとドラムの共演アルバムではない、と宣言するかのようだ。
 
伊藤大地は主にロック・バンドでの活動で知られ、自身のプロジェクトの他、多くのアーティストのサポートもしてきた。本作で二人が見せるのは、どちらが主でも従でもない、対等の絡み合いだ。ブギ・ウギ・ピアノの王道モチーフである列車(トレイン)を題材にした「GROOVE TRAIN BOOGIE WOOGIE」では、前半はゆったりとしたシャッフル・ビートでアクセントをつけながら並走し、後半はスピードを上げて抜きつ抜かれつの競り合い をみせる。途中で伊藤がガタゴトと列車の音を模したりするのも、ピアノがどっしりとビートをキープし続けているからこそ映えてくる。「THIEF DOG」では効果音のようなドラミングを披露するなど、多彩な仕掛けがあり、実に飽きさせない。
 
アルバムを通して聴くと、斎藤のブギ・ウギ&ブルース・ピアノにある現代性を、伊藤のドラムがさらに増幅していると感じる。「THE GAMBLER BLUES」でのスネア・ドラムの音色や、穏やかな「PROMISE IN SEPTEMBER」のまるでリズム・マシーンで作られたようなビート感は、「古き良き音楽を再現すること」が目的のような懐古趣味とは正反対の姿勢のあらわれであろう。躍動感満点の「LONE WOLF BLUES」と「THEME OF THE BOOGIEMAN」にもそうした新進の気概がある。その中で「YELLOW MAGIC BOOGIE」は、伊藤のドラム・ソロといい、伝統を忘れない頑固さを見せた快演だ。
 
ラテン風味のある「OLIVIA」、ピアノがスカのリズムを感じさせる「SEEKER」など、曲のアイデアは幅広く、ゴスペルをテーマにした「GOD SPELL -HALLELUJAH-」は手拍子がパーカッションとなり、晴れやかにアルバムの幕を閉じる。
ルーツを大切にし現代性も忘れない二人、斎藤圭土と伊藤大地が互いの持ち味を発揮したピアノとドラムのバトル・アルバム。もちろん二人が勝者だ。
 
(ブルース&ソウル・レコーズ 濱田廣也)

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